VPN

大きく分けてインターネットVPNとIP-VPNがある。インターネットVPNは、文字通りインターネットにセキュリティプロトコルで仮想通信網(VPN)を構築する。IP-VPNは事業者の閉域網にてMPLSを使ったネットワークであり、アクセスラインは専用線である。フレッツ網など閉域網を使い、アクセスラインがブロードバンド回線である、エントリーVPNというのも出てきた。エントリーVPNはインターネットVPNとIP-VPNのいいとこ取り的存在である。
(拠点間接続という面から見るとEthernet系の広域イーサネットも同様の用途に用いられる。広域イーサはスイッチでLANと接続する。網内はVLANでユーザを区別する。ネットワークの設計・管理などもユーザが行う必要がある。仮想的にフルメッシュ通信が行われる。)

VPNは点と点を結ぶトンネルである。IP-VPNは仮想的にフルメッシュが張られている。

VPNプロトコル

PPPの拡張であるPPTPは、レイヤ3(ネットワーク層)でVPNトンネルを構築する。IPだけしか使えない。IPデータグラムにPPPヘッダを付けて、さらにGREヘッダでカプセル化し、そしてルーティングするためのIPヘッダを付ける。送受信とも共通のトンネルを用いる。暗号化は他の手段を用いる必要がある(標準はPPPで使われるMPPEという手段で、暗号化方式はRC4)。Windows標準機能で利用可能なので、リモートアクセスなどに用いられる。

IPsecはレイヤ3(ネットワーク層)でVPNトンネルを構築する。IPv6では標準となる。IPデータグラムを暗号化し、ESPヘッダ(and/or AHヘッダ)、ルーティングするためのIPヘッダを付ける。送受信は別々のトンネルを用いるのでトンネルは2つ構築される。名称通りIPだけしか使えない。

PPTPを標準化したL2TPは、レイヤ2(データリンク層)でVPNトンネルを構築する。上位層がIP以外のAppleTalk(MacOSで利用)やIPX(NetWareなどで利用)でもVPN可能。PPPヘッダ、L2TPヘッダでカプセル化して、UDPヘッダ、ルーティングするためのIPヘッダを付ける。暗号化は他の手段を用いる必要がある(IPならばESPトランスポートモードのIPsecにするなど)。

SSL VPNはレイヤ3よりも上位層(レイヤ5(セション層)またはレイヤ4(トランスポート層))で動作するSSLを使って、SSL-VPN装置との間にVPNトンネルを構築する。リモートアクセスなどに用いられる。基本的にはカプセル化されるわけではないので、VPNトンネルを抜けた後にどのように目的のIPアドレスへ転送するかにより、幾つかの方法がある。HTTP以外のプロトコルをHTTPに変換し、ユーザがWebページで指定したサーバへSSL-VPN装置が送信する(リバースプロキシ方式・プロトコル変換方式)、ローカルのVPNソフトがポートフォワードしてSSLを適用し、SSL-VPN装置はVPNソフトにより設定されたサーバへ送るように、VPNのポートとサーバを一対一対応させる(ポートフォワーディング方式)、など様々な方式でVPNを構築する。一般にはIPsecよりも遅い。

なお、OpenVPNというソフトウェアはSSLを用いているが、レイヤ2である(L2転送方式:仮想NICを作ってフレームをそのままSSLカプセル化する)。

  • MPLS

MPLSはルータにてレイヤ2とレイヤ3との間にシム(shim:詰め物)ヘッダを挿入し、そのヘッダに含まれるラベルによってユーザ毎のルーティングを行う。IPを見ずにルーティングをするために、インターネットVPNでは利用できず、IP-VPNで用いられる。(余談だがMPLSを広域イーサで用いたEoMPLS、またの名をVPLSというのもある。)

参考:
wikipedia:Virtual_Private_Network
PPTP / L2F / L2TP とは
VPNを知っておこう | 日経 xTECH(クロステック)
広域イーサネットとIP-VPNを理解---目次 | 日経 xTECH(クロステック)
VPNの仕組みを探る(1/2) - ZDNet Japan
http://www.computerworld.jp/news/sec/21042.html

2014 徹底解説ネットワークスペシャリスト本試験問題 (本試験問題シリーズ)

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